友達に抱いた恋愛感情を手放したい話
私の数少ない友達の中に、高校入学から何かと関わりがあった女の子がいる。
ずっと一緒だったわけではなく、下校とかゲーセンに行ったりした関係は
ほんの1年半くらいだったのだが。
まぁ重要なことはそこではない。問題は
(私は女だが)私は彼女のことが好きだった。
その思いが彼女と出会って7年目の私を、未だに過去へ縛りつけている
ということだ。
諸事情により、彼女と距離を置いた高2の私は罪悪感から3年の半ばまで
彼女と関わることは避けていた。正直、話すことが怖かったのだ。
でも、そんな彼女は高校で唯一心を許した友達である。
だから、当時の私は恋をしてしまった。
高校を卒業すれば会わなくなるから告白をするべき。
そう思ったことは数知れない。しなかったのだが。(大学が同じだった)
今となっては気の迷い、舞い上がっていたと分かるのだが
当時の私は、彼女の趣味、部活、性癖、手の大きさ、優しさ、温かさ…を知っている。だから1番彼女を知っている、と思っていた。
後方彼氏面、という言葉があるが、まさに謎にその面をしていたからである。
…まぁ世の中はそんな上手くできている訳はない。
学科が違えば大学内で会うことも減り、ほぼ会うことは無くなっていった。
そうして私の知らないところで彼女は友達ができ、髪が伸びる。
受験の終わった体格は変わり、話し方も考え方も、色々なものが変わっていく。
私にとってそれは酷く耐え難いものであった。いや、本当は今も辛い。
世の中では愛があるなら成長を喜ぶべき、背中を押すべきかもしれない。
しかし執着を拗らせた私はただ1人、訳も分からず胸を苦しめている。
私の知らないところに行かないでくれ。
私を置いていかないでくれ。
あの時と変わらないでいてくれ。
彼女が彼女でいなくなるような、そんな気がして喉を掻き毟りたくなる。
他の人にはこんな思いを抱かないから不思議なものである。
縁を切ったわけではないから、今でも数か月に一回は顔を合わせていた。
しかし、今度は大学の卒業が明日に迫っている。
卒業式を逃したら、もう彼女とは会えないかもしれない?
否、もう少し早い。
今日が、その日だった。
詳細は省くが、私と彼女は同じ大学でも卒業式では会えないのだ。
入学式は同じだったのにな。
だから今日は高校の同期数人と自由の最後、ということで遊んだ。
メンツの家の方向を考えると、帰りの電車で彼女と2人きりになれる。
大学の時に手伝った同人誌をその電車で返そう(借りてた)、そう思っていた。
何なら勇気を出して自己満足だが、当時の気持ちを伝えようとすら。
同人誌は、私の手元に残っている。
タイミングが合わなかった。何も、できなかった。
みんなと別れる時、ハグをしていったが私にはなかった。
今日のコミュニケーション、近づきすぎたのだろうか。
それともこの気持ちがバレていたのだろうか。
過去の私は彼女から離れた。
今回の彼女は私から離れた?
この不安と焦り、真実を知ることが出来なかった悔しさと悲しさが
今も私の胸の中に渦巻いてる。
私は、私は彼女の存在に縋るべきではないことを知っている。
そうでなければ、このような思いをすることを知っていたはずなのに。
どうしてこうも彼女を思ってしまうのか。
私はどうしたらいいのか。
縁を、関わりを断つのも持つのも、今はひたすらに怖い。
明日、私は大学を卒業する。
彼女との、唯一のつながりは時とともに消えていくだろう。
でも、私のこの思いだけはまだ消えそうにない。
彼女への思いと執念を過去に置くためのセリフを言えず、
後悔と共にこうしてキーボードを淡々と打っている。
せめて今日、形だけでも終わらせたいこの無念を晴らしたい。
だから以下に飲み込んだ言葉を吐き出して、
私は明日の卒業式に向かうため目尻を湿らせて眠ろうと思う。
「私はさ、お前のことが好きだったんだよ」