女子高校で告白(もどき)をされた話 1
こんにちは。
久しぶりに先日高校時代の友達と通話をした際に、
思い出話に花が咲いたのでその記録に。
告白(もどき)なのでタイトル詐欺とか言わないでほしい。
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「私、お前となら付き合えるわ」
私の両肩を強く掴みながら、目を真っ直ぐと見て結城(仮名)は私にそう告げた。
真横で帰宅ラッシュの快速電車が音を立てて過ぎ去るまで、
私は何も言えず、目もそらせずにいた。
1.結城との出会い
結城と出会ったのは入部した時。
私よりも20cmは高い身長、内気な女子高の子に比べて珍しいくらいに社交的な、でも、普通というには遠い、空気を読まない子。結城(仮名)と出会った。
「同じ楽器を希望してたんだけど無理だったわ…初心者同士がんばろうな!」
誰?いたのか?
自慢じゃないが、私は人の顔と名前を覚えるのが才能レベルに苦手である。
2日前に出会ったのだろうが、全く覚えていない。
ので、こういう時は無駄に思い出さずに伝えるのが賢いのだ。
「ごめん、覚えてない。」
これが今後6年間の縁を結ぶ言葉だった。
それから約1週間、顔を合わせるたびに
「さぁ!私の名前は何だ!!」
を繰り返された。顔が近かった。
昨日見たことのある身長だな…?
昨日見たような顔だな…?
確か画数が多い名前だったような…?
…?を繰り返して、ようやく友達の名前を覚えた。(1人目)
今思えば私は高校入学して最初の頃、中学の話が多い女だった。
その時に結城が後輩に似ている、その後輩は~と話を何度もしていたら、
「私はその後輩じゃない!」
と少々怒鳴り気味に真っ直ぐ怒られたことがあるくらい、
結城は自己が確立されている子だったように思う。
2.自滅
それにしても高校の私は愚かだった。
丁寧な言葉を、礼儀を、人の心を考えない愚か者。
しかし、初対面の印象だけは良いのだ。
『良く在ろう』、その意識が徐々に薄れてしまうばかりに。
当然、日が経てば、この愚かさは露見していく。
私は部活の空気を、人間関係を壊してしまったのだ。
具体的な内容は割愛するが、部内の人と対立をしたのだ。
大きく怒鳴ったり、目に見える喧嘩は無かったが、場の空気が悪ければ自然と精神は消耗するのだと、おにぎりを1日1個食べることもままならない食欲不振で体感していた。
3. 心配
この人間関係の悪化と並行して、私の親が発狂した。更年期障害による鬱だ。
学校に行っても、家に帰っても地獄だった。
毎日途中まで同じ電車に乗る結城にだけ、私は愚痴をこぼしていた。
家に帰りたくない、毎日の部活もつらい。ただ勉強してるのが救いだと。
ほぼ同じ内容を毎日結城は聞いてくれていた。
「大丈夫か?」と聞いてくれるので、時々目が潤んだ。
聞かれても口を開けばきっと泣いてしまう、乗る電車が来るまでに
1度溢れ出した感情を抑えられる自信もなかったから、いつも黙って遠くを見ていた。
変わりもしない現状。
逃げ場のない辛さに目を背けるように、遠くを見ることが増えていった。
気を付けないと真っ直ぐ歩くことが出来なかった。
何もやる気が出ず、家で1人のときは勝手に涙がこぼれる毎日だった。
そんな中で何も出来ないとわかっていながら、
結城が気にかけてくれることが、ただ1つの希望だった。
まだ心配してくれる人がいるのだと。見捨てられていないのだと。
その頃から結城は私の最寄り駅まで送ってくれるようになった。
部活を挟まなければ仲の良い友達だったので、月に2回ほどのオフには一緒にゲーセンに行ったりした。
(私と結城はいわゆる音ゲーオタクだったが、やるゲームは違うので同じゲーセンに行って解散、時々様子を見に行ったりするだけを遊びとは言えないかもしれない。)
こうして、部活と家で消耗した精神を、結城と会う時間でどうにか回復させていた。
結城と会える時間だけ、楽しいことを考えられた。一緒にいることが幸せだった。
4.スキンシップ
ある日、結城に私の服の中に手を入れられた。
人に触られることにはあまり抵抗の無い私は、度の過ぎたスキンシップだと捉えていた。
結城の大胆さは出会った当初から変わっていなかったからだ。
女子校において、友達同士のスキンシップというものは多々ある。
そう品のある学校でもなかったので、挨拶のようにハグをしたり、スカート(限度はある)めくりもしたりした。
結城とも、手を繋いだり、ハグをしたり、触れ合う機会は多かった。
でも、服の中に手を入れることは無かった。もちろん他の子ともだ。
更にそこは校内ではなく、駅のホームだった。
社会的によろしくない。当然のごとく拒絶をした。
しかし、人間というものは適応する動物なのか、私の身が甘いのか、1か月後にはそこそこ身を許していた。
物陰に隠れ、制服のシャツの下から手を入れられて撫でられようとしたところで、
いつも手を止めさせる。そんな関係になっていった。